コーンスターチの代わりに葛粉を使った以外はほぼレシピに忠実に。でも、焼き時間は倍くらい、1時間半くらい焼いていた。
無糖のブルベリージャムを添えて。
お味も見た目もこの間のよりずっとあの味、私の想うチーズケーキに近くなって、一応満足。
こんなにこだわるのは、NYチーズケーキにはすごい思い入れがあるから、、、。
ニューヨークに住んでいた父の知人のN先生が日本に来る度に、お土産としてブロンクスだったかブルックリンだったかにあるチーズケーキ屋さんから一台のチーズケーキを冷凍で持ってきてくれた。私が初めて食べたのは多分、もう数十年も前、小学生の頃。当時は日本のケーキ屋さんでよく売られているフワフワのスフレタイプのチーズケーキはあっても、濃厚ないわゆるNYタイプのチーズケーキはほとんどなかったと思う。それが届くと家族全員がワクワクしながら箱を開け、母がそっと切り分けるのをじっと待った。そして一緒に頂くのは決まって当時は珍しかったFaushonのアップルティーかコーヒー。ピーターラビットの揃いのコーヒーカップで。ケーキは薄いクラストが下にあって、上にうっすらと焼き色が付いている。すごく濃厚なのに口に入れるとほろほろと溶けていくような食感。大きさは確か18cmだと思うが高さはしっかりあった気がする。今でもチーズケーキといったら、この味が舌に蘇ってきてしまうくらい、私にとっては衝撃的に美味しい味だったのだろう。多分、両親にとってはもっと懐かしい味なのだと思う。私がまだ歩き始めの頃、数年過ごしたニューヨークで出会った味。日本ではケーキやチーズさえも珍しかった時代にあの濃厚なケーキは忘れられない味になったに違いない。だから今でも母なんかどこのチーズケーキを食べても、なんだかフワフワしてて美味しくないわね~、と不満そうに言う。その度に、私は母があの味を想っているのだということがわかって、可笑しくなる。私も実際そうだから。
N先生も随分前に亡くなられて、ニューヨークから届くこともなくなった。でも、チーズケーキと言えばN先生を思い出すし、学生時代にNYに遊びに行った時に泊まらせて頂いた先生のアパートの照明の暗かったこと、先生の末の息子さんとそのガールフレンドと遊びに出かけ巨大なパフェを三人でつついて食べた事など、色々なことが懐かしく思い出される。人の舌の記憶って、結構鮮明だ。
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